日曜日は風変わりなことが重なった。本に関わる人たちが期せずして次々やってきたのである。
最初にきた人から、ほとんど同じころ開店した古本屋がその日で閉店だと聞いた。ショックだった。美術関係のいい本を揃えていた。大手古本店で修業を積んできたと聞いている。品の良さで感心していた。うちのお客さんの持ち込んだ美術書をそちらに紹介いしたこともある。私には扱い切れないから。若いのにいい商売していると、感心していた。
本屋ではないが、この業界に顔の効く人が来た。彼に業界の現状を聞いた。どこも同じような悩みを抱えているようだ。どおりでこの前の山陽放送のような取材が来るはずだ。 うちの場合、とくに客足が遠のいたわけではない。来るが買わない、買わないで長時間迷っているのだ。よりやすいものを買おうとするのはわかる。景気は上向きと盛んに宣伝しているが、長期的な展望などない。若者はそういう点、雇用はあっても賃金と労働内容、働きがいも含めて決して上向きでないことを知っている。だから少しでも安いものを求めたがる。中にはつい先日でたばかりの新刊本を求めて「○○という作家の××ありませんか」と、来る。作家も気の毒なことだ。当然のことだけれども、だれもが生きていかなばならない。
1、2年前と売れ筋もかなり違う。あの頃は、いわゆるヘイト本を尋ねて来る50代以上の男性が多かった。今は意外な本がよく出る。かなり前の私の若いころ読んだような本だ。「ファシスト○○」「ドイツ○○」ヒトラーとは…といった本が売れる。若い人に多いようだ。というのはあまり気にしていなくて、ついこの2,3日前気になり出したことだ。こうした客の動きを自分なりに解析してみる。迷っているのじゃないかな。どの情報が正しいのか。
正しいものなんかありはしない。自分の見る目を養ってほしい。気になる本から読めばいい。知りたいことと少しでも関わりがあると思うことにだあったら求めればいい。だから私は「ゆっくり見て行ってください」とだけ挨拶して、あえて黙って店番しながら長い客に付き合って時々寝てしまう。話したがる相手にはお茶の相手をする。
専門書以外は仕入れを考えて安く出す。気に入った専門書は仕入れにかかるため高くつくのは当然でしょう。本の価値は値にあらず!
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