2017年3月21日火曜日

古本屋のひと息

 昼間はさっぱり人通りがなかった商店街の3連休最後の春分の日、17時近くになって本を見に立ち寄ってくれた人でいっぱいになった。小さな本屋で、喫茶店なので数人も来てくれて本を探し、お茶を飲んでくれると「いっぱい」になる。たちまち満席となり注文が入り、張り切ってコーヒーを淹れる。
 2人掛けの席の方が、「民俗学関係の本がそろっていますね」といわれた。「ぼくも民俗学に興味があるんです」四国からいらしたこと、開店当初ご来店くださった古本屋さんに紹介されてのご来店ということ、1月から同業者になられたこと、などなど話された。1台電車を見送って、次のマリンライナーで急いで帰られた後、文庫本の棚から若い女性がカウンターにつき、黒蔵茶を注文してくれた。彼女は、先ほどの彼の「民俗学に興味がある」という言葉に反応していたことに私は気づいていた。着席するなり「私も好きです。文庫本の棚に柳田国男がいっぱいあったので、ここにもあるよって言いそうになりました。(民俗学は)もうやめましたけどね」「面白いだけでは、食べてはいかれないからねえ」と別の分野に移ったという学生さんとの会話となった。「自分の住んでるところが昔はどんなだったとか、どうして今こんなになってるかなんて、誰も教えてくれないけどほんとは必要なんだよね」隣の席のおじさんが参加して話に花が咲いた。
 外はいつの間にかすっかり暮れていた。

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